十輪寺ブログ
2.212023
光明真言法の伝授
2月10日、高野山真言宗内吉野宗務支所(内吉野支所)主催の教学研修会に参加しました。内容は光明真言法の伝授です。伝授とは、師僧や深い学識、高い徳を備えた僧侶、大阿闍梨より直接、行法などを教えていただくことです。光明真言法は、土砂加持の際に導師が用いる行法で、今回は土砂加持法則に基づき、高野山釈迦門院、中西雄泰僧正よりご指導をいただきました。
さて、土砂を加持する法要とは不思議なことのように感じられるかもしれません。土砂といえば土や泥が混ざったものを思い浮かべるかもしれませんが、土砂加持で使われるのはさらさらとしたとても細かい砂なのです。その砂を加持するとどうなるのでしょう。伝授当日、伝授資料としていただいた「中院流土砂加持法儀撮要」には土砂加持法要について次のような記載があります。
この法会に依りて加持せられたる土砂は、不思議の妙用功徳を具え、剛化せる屍体に光明真言を唱えながら、この土砂を散ずれば、暫くにして柔軟となることは世人のよく知る所なり。又は難産の時にこの土砂、少量を浄水にて服すれば安産を得、依って以て安産の符となる。経軌に説く所、先徳の示す所、無量無辺の功徳を讃揚して措かざるなり。
この加持に持ちうる土砂は高野山又は室生山等の山間、清流の奥地にして人跡未踏の所の白砂を取来て、この法会において光明真言を誦じて加持せらるるものなり。
今では土葬をすることはないのですが、昔は、火葬よりも土葬が一般的でした。土葬では、棺は今のような長いものではなく、桶のようになっており、座るような姿で埋葬されたのです。この桶のような棺に亡くなられた方を納棺しようとするとき、死後硬直がひどく、棺に入らないことが度々あったとのこと。しかし、この時、土砂加持の砂をかけると、「中院流土砂加持法儀撮要」に書かれているように、硬直が解け、納棺ができるようなったそうです。また、お産の服すると難産が安産になるなど、お加持をした砂には不思議な力があるといわれています。
昔は十輪寺でも土砂加持を毎年、日を決めて行っていたようですが、準備、特に僧侶の人数を集めるのが大変な法要ということもあり、今では、行われることはありません。しかし、内吉野支所では、真言宗の大事な法要ということもあり、支所の僧侶が集まり、土砂加持法要が営まれます。